家での投薬は、指示どおりとは限らない
- 56%
てんかんの犬における、抗てんかん薬の遵守率の中央値。完全に守れていたのは21%でした(英国の研究、Booth ら 2021。94例の錠剤数の確認と、飼い主229人の調査)。
- 39%
猫の在宅投薬で、指示を守れていなかった割合(ニュージーランドの研究、Odom ら 2025、66例)
- 18.3%
国内で、お薬手帳を使っている飼い主の割合。飼い主の約4割は、薬を飲ませることに困難を感じていました(日本薬学会 第145年会での発表、2025年。協力病院3施設、191名回答)。
なお、服薬の遵守に関する研究自体が少なく、質の高いエビデンスは乏しいとする系統的レビューもあります(Wareham ら 2019)。
慢性疾患の治療判断には、家での記録が要る
心臓病
米国獣医内科学会(ACVIM)のガイドライン(2019)は、心不全期の在宅管理として、飼い主による呼吸数・心拍数の確認を推奨しています。安静時呼吸数が「ふだんの値から」増えることが、悪化の予測にいちばん役立つとしています(Keene ほか 2019、ACVIM 僧帽弁閉鎖不全症コンセンサス)。
てんかん
抗てんかん薬を始める目安は「6カ月間のうちに2回以上の発作」です(日本獣医師会雑誌 2025、てんかん Q&A)。治療効果の目安は「発作頻度が50%以上減少」とされています(長谷川大輔『犬と猫のてんかん読本』第3版)。
どちらも、家での記録が正確であることが前提です。
記録がないと、治療がうまくいっているか分からない
- 97.3%
発見が遅れて症状が進んでいたケースを経験したことがある獣医師の割合(「よくある」52.6%+「たまにある」44.7%。CUFEIS株式会社による調査、2023年)
治療の効果が見えなければ、飼い主さまは通院を続ける理由を見失いやすいと、私たちは考えています。
先生にとって変わること
- 投薬の記録:飲ませた・飲ませられなかったを、飼い主さまが記録します。
- 症状の記録:発作タイマー、タップで数える呼吸数の記録、グラフでの推移。
- 受診時:前回からの投薬と症状の推移を、PDFで確認できます。
飼い主さま向けの発作の記録の付け方は、わんケアジャーナルの「犬の発作は「時間・様子・回数」の記録が診断を助けます|記録の付け方」でご紹介しています。
院内でご案内いただき、効果を一緒に測らせてください
家での記録が慢性疾患の通院継続にどう影響するかは、国内ではまだ十分なデータがありません。院内でご案内いただいたあと、たとえば次の指標を一緒に見ることをご提案します。
- 慢性疾患の患者の、予定どおりの再診の割合
- 投薬記録の継続率
よくある質問
- 発作の動画も見られますか?
- はい。飼い主さまは、発作の記録に動画を添付できます。
- 病院側の作業は?
- 不要です。